読了本:須賀しのぶ「スイート・ダイアリーズ」

スイート・ダイアリーズ

スイート・ダイアリーズ

須賀さんの初のライトノベルではない本。
高校での3人の仲のよい少女たちは、30代になっても親交は続いていた。それぞれ複雑な問題を抱えながら。
そして、なりゆきで交換殺人が始まってから、彼女たちの関係は変化していって…
「女」の弱さの描き方が嫌になるほど生々しい(誉め言葉)。泥沼の不倫をしていた亜季や、DVを受けていた素子の章よりも、美人で幸福な結婚をして裕福な生活をしているはずの有香の章が印象的でした。彼女をやんわりと押しつぶす空虚な闇の描写がいい。
この話を読んでいて、「キルゾーン」シリーズの終盤でヒロインであるキャッスルが非常に「生々しい女の弱さ」を見せてしまって、一部ではかなり非難轟々だったことを思いだしました。私は「こういう展開になったかっ」とおもしろく読んだものの、少女小説であの展開はないだろう、という意見にも頷けるものがあったものでした。なんせ、→ヒロインを恋慕う年下の男(ワンコ系)の父親と不倫関係になってしまう←んでしたからね…
そういえば、「流血女神伝」でもサジェやサラのように、女の生々しい弱さと、そしてその裏返しの強さを持ったキャラを描いていましたが、須賀さんには「女」のそういう弱さと強さを描きたいという欲求があるのかなあ、と思ったり。