路線変更:違和感の源
またしても更新の間があきました…
体調不良とか気力がないとかいろいろとありまして。
その間に響鬼では大きな変化がありました。
それに対する私の気持ちは「寂しいけれども仕方がない」でしょうか。8月以前のようなワクワクした気持ちでテレビの前には座ることはもうできないと思います。
感覚的であいまいな言い方になってしまいますが、リズムと手触りがあまりに違いすぎて、29話までと30話が「同じカテゴリに属するもの」であると自分の中では認識できませんでした… それと「作った人」のこだわりや価値が「変わった」と感じてしまいました。
そう感じたうちのひとつは、今回のイブキさんが火車発生現場にかけつけた描写でした。
通常、響鬼世界での魔化魍退治というのは、以下のプロセスでおこわなれます。
- 予測もしくは推測、通報*1
- 探索
- 退治
で、なぜこのプロセスが必要かというと、魔化魍および姫・童子については(じっと潜んでいれば)よほど近づかない限り鬼たちでさえ気配が読めないから、です。
ただし、さらに上位存在(?)の「身なりのいい男女」および「傀儡」については、鬼であれば邪気を感じることができるようです。
27話でザンキさんが感じた気配は、私はあれは姫・童子のものではなく白傀儡のものだったと解釈しています。(もしくは、傀儡は鬼で「遊ぶ」ために気配をわざと出して、引き寄せようとした?のかも…)
ちなみに29話でヒビキさんがツチグモに気が付いたのは、邪気というよりは大きな生き物の動く気配や音を鬼の鋭敏な感覚でとらえたんじゃないかと考えています。
前にオオナマズの話で町に出現する魔化魍のエピソードがありました。あの時は童子・姫を偶然イブキさんが発見したという展開でしたが、そのあとの魔化魍本体発見までのプロセスは、基本フォーマットにのっとっています。
今回の火車もイレギュラーな町に出現する魔化魍の話ですが、従来であれば
- 不可解な事件が発生
- 魔化魍の仕業ではないかと猛士が判断
- 被害状況から火車と判定したが、なぜこの時期にこの場所に出現するのかいぶかしがるor正体不明の魔化魍、調査続行
- 出現場所に規則性がある?ので次の発生可能性がある場所に出撃orDAで探索
というあたりがもうちょっと詳しく描かれるはずです。セリフのみの描写になるかもしれませんが。
ところがそのプロセスをすっとばして、いきなりイブキさんがバイクで登場。でも、演出としてはわからなくはないんですね。だって、そっちの方がカッコいいから。
調査・探索の段階を描いていれば、視聴者にはイブキさんが登場すると予測できてしまうわけで、それに比べると予測もなしにいきなり登場の方がインパクトありますし。
でも、そのインパクトを犠牲にしても一連のプロセスを描くことにこだわってしまうあたりが、私にとって「響鬼」が「響鬼」たらしめている根本的な要素のひとつなので、そうやって優先順位が変わってしまったこと(この魔化魍探索以外にもいくつかあるのですが)が、「作っている人がかわってしまった」という違和感につながったのではないかと思います。
今回のことは寂しいけれどもどうしようもないことで、新スタッフを責めるつもりはありません。ただ、私にとっては29話までの「響鬼」と30話の「響鬼」は別物にしか見えないというだけなんです。
かわってしまったものは仕方ないから、慣れるしか仕方ないのでしょうね。
というか、脚本家や監督の演出方法によって相当のブレが出ていた1〜29話を、「同じ人が作ったもの」(同じ人たち…と複数形ではなく)と自分の脳が認識していたことに驚きました。小説やマンガのような個人作業ならともかく、複数のスタッフが関わっていてリアルタイムに変更がありえるドラマなのに…
ストーリー自体はそれほど極端な路線変更(例:登場済みの鬼のうちの誰かが魔化魍側に寝返って、内部でのライダーバトル)はなんとなくなさそうな気配ですし、役者さんたちもやる気十分ですから(細川さんとみつーの言葉には泣けました…)、今後の展開を見守っていきたいと思います。
でもやっぱり、ちょっと寂しい。