読了本:須賀しのぶ「流血女神伝 喪の女王8」

シリーズ完結編。この日がくるのが待ちどおしかったけど、いざそうなると寂しい。

「神と人」の物語が、「人」の物語になるまでの話。

読み終えて数時間経ってますが、まだ頭があっちの世界に持っていかれたような、ふわふわした気持ちが続いています。

前巻で「えっ、これであと一冊で終わるの?」と思いましたが、最終巻にふさわしい怒涛の展開の上、今までの伏線も見事に回収してのけました。お見事。
「我が人生に一片の悔いなし‼」とという作者の雄たけびが聞こえてきそうなほど、渾身の作でした。

それにしても、8年間、リアルタイムで読んで、ジェットコースターのような展開に一喜一憂して。
とても楽しかった。新刊が待ち遠しくて、発売されたらすぐに一気読みして、そして「つ、続きを‼」と悶えて…を繰り返して。
こんな読書体験ができたことは、本当に幸せでした。

シリーズは完結しましたが、ぜひ子供世代の話、読みたいです。書いてくれたらいいのになあ…

ネタバレ→滅亡に瀕したルトヴィアを襲った地獄絵図の容赦なさ。それでも、命の限り、必死に生きる人たちの姿に涙、涙でした。
特に、グラーシカは最期まで気高く美しかったです。ドーンと初めて身も心も通じ合えたシーンはものすごく切なかった…
ドーンの退位を宣言するシーンもすばらしかった。それに限らず、今回はドーンのシーンはどれもよかったなあ。ミュカも頑張ってたけど、まわりがすごすぎるから、ちょっと影が薄いような。そういえば、ミュカの代償って結局なんだったのでしょうか。これだけは明示されてませんでしたね…
オレンディアの覗いた闇の深さの描写が際立っていました。
トルーハンとギアスの戦いは、もっとたっぷり描写してほしかったけど、全体のバランスから考えるとこれがベストだったんでしょうね。それにしてもあまりにあっけないソードの死。
サルベーンが生きていたのは意外でしたが、何もかも失って初めて彼も安らげるようになったんですよね…
それにしても、私はエドカリ派でしたが、本当に「夫婦」になっちゃうのは予想外でした。子供まで作って‼ ケンカもしながらだけど、結構ラヴ‼
アフレイムとカリエも再開できそうなので嬉しい。再開シーンも、読んでみたいです。ナイヤとも会えるのかな?
フィンルがバルアンの奴隷になったということは、スゥランは主の娘になるわけで、このふたりの関係もどうなっていくのか気になるので、子供世代の話を読めたらいいんですが。