「実名の危険性」を大きめに見積もるわけ。
こうやって実名の危険性について色々と書いてしまうのは、私自身がネット上のやり取りで怖い思いをしたことがあるから、なのかもしれません。
10年ほど前、ジャニーズのファンサイト(当時は最大手)を運営していたんですが、そのときにとある方とトラブルめいたことになり、脅迫ともとれるメールをもらったことがあります。
事が事なので詳細はかけないのですが… 「殺される」というのはさすがに大げさでも、何か肉体的に危害を加えられるかもしれない、と恐れていました。当時の私は一人暮らしでしたから、余計に。
その方の知り合いの知り合いに私の実名・住所を知っている人がいたので、そちらから手繰られたらどうしよう、と怖かったです。幸い、恐れていたようなことは何もありませんでしたが…
誤解する人がいたら困るので念のため書いておきますが、そのトラブった相手はジャニーズ事務所および関係者ではありません。ついでに、私は結構ジャニーズ事務所に批判的なことも書いたりしてましたが、私がファンサイトをやっていた間、事務所から圧力を受けたことは一度もありませんでした。
あと、「匿名」の人たちによるネット上の嫌がらせもかなり受けていました。当時は2chがなかったので、今よりは「嫌がらせの量」は少なかった*1ですが、それでも当時ネットの技術に関する知識が全くなかった私にとっては、大変なことでした。*2
でも、匿名の相手に手を焼いたのは確かでしたが、私も実名を出していないから、さほどダメージを受けることがなくて幸いでした。もしあの当時、実名でサイトを運営していて、その実名から私の住所や会社等の個人情報が調べたらすぐにわかるようになっていたら、もっと大変なことになっていただろうなあと思います。ネットの外でも電話や他の方法で、私に姿を見せずに嫌がらせをする方法はいくらでもあったのですから。
私がやっていたようなこと…ファンサイトでの活動というのは、小倉弁護士が想定している「ブロガー」とは違っているかもしれませんし*3、10年前と今では状況も違うでしょう。
当時の私のサイトが、アクセス数が多く、注目を集めていたことが嫌がらせやトラブルの原因のひとつだったわけで、それを考えると私のケースはレアケースなのかもしれません。
ファンサイトをやめた後、本の感想サイトをずっと続けていましたが、そのときにはしつこい嫌がらせを受けたり、身の危険を感じるようなことはありませんでしたから。
でも、もしジャニーズファンサイトをやっていた当時、私が実名*4でサイトを運営していたら、今、私はこうしてのん気に文章を書いていられるような状況ではなかったかもしれないなあ…と今となっては思うのです。
自分の体験があるから、私は「実名による危険」を大きめに見積もるところはあるかもしれません。
読了本:岩明均「ヒストリエ4」
- 作者: 岩明均
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/07/23
- メディア: コミック
- 購入: 10人 クリック: 67回
- この商品を含むブログ (200件) を見る
でも、続きが読めるのはまた1年後になりますかねぇ…
私はこの人の「理不尽な暴力の乾いた描写」が好きなんですけど、「寄生獣」のときはその暴力というのは異形の生物によって外部よりもたらされたもので、ゆるい日常との描写の対比が面白かったんですが、「ヒストリエ」の場合はその暴力は「日常」の一部として、あっけらかんと描かれているのがおもしろいです。*1
*1:やっちゃったものはしょうがないよなー、とまるで農作業のようにサクサクと殺しちゃうところとか